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【超高齢社会への準備】

このページでは、過去の状況を振り返りながら、どのようにして超高齢社会への準備を進めて来ているのかについて書いています。現行の介護保険制度等については別ページに記してありますので、ここは暇な時にご覧下さい。

社会の高齢化の分類、呼称

・高齢化社会 高齢化率7%〜14%

・高齢社会  高齢化率14%〜21%

・超高齢社会 高齢化率21%〜 
中高年が集まってパーティ。超高齢社会となる未来像。今の若者たちの健全な未来をイメージ。

日本は既に「高齢社会」であり、平成22年には超高齢社会となる見込みだそうです。すなわち、今まさに「超高齢社会への準備」を進めているわけです。



【超高齢社会への準備〜 介護を措置から社会保険方式へ】

まず、その手始めとして、平成9年に「介護保険法案」が可決成立し、平成12年度から介護保険制度が開始されることが決まります。

当時は、一部の方が行政と社会福祉法人等による措置的なサービスを利用したり、病院等では「社会的入院」が問題になったりしていましたが、その他多くの要介護高齢者は、殆どサービスを利用していませんでした。また、自由にサービスを選んだり利用したり出来る状況でもありませんでした。

親、配偶者・・・家族介護の形態は様々ですが、介護者自身も高齢化し、また、介護を行なう期間も長期化する傾向であり、介護を要する高齢者及びその家族の疲労はピークに達し、社会問題となりつつありました。

また、国民の多くは、将来、介護が必要となることへの不安を感じているとのことで、「介護保険制度」は必要不可欠なものとして、施行されることとなったのです。

ただし、全ての方が手放しで歓迎していたわけではありませんでした。老人福祉法、老人保健法の財政破綻、社会的入院の増大等を背景に、介護を「社会保険方式」にせざるおえなくなったとの見方もあり、「これは福祉ではない」という意見も、福祉に携わる方の中から聞かれることもありました。

当時、行政、社会福祉法人等による措置によるサービスの利用。ボランティアと仕事とが混在した福祉の利用に対して、「介護は、子、嫁等の義務であり、福祉に頼るのは恥ずかしいことだ」とする、昔の日本人らしい風潮がはびこっており、高齢者本人、介護者共にサービス利用に対する抵抗感を持つ者も少なくなかったようです。

介護者が、このような間違った風潮や世間体に苦しみ、行政に頼らず、福祉に頼らず、歯を食いしばって問題を抱え込んでいたのです。それを「社会保険方式」にして、「介護ビジネス」を定着させ、国民及び被保険者の義務(保険料納付)と、介護が必要になった時の受給資格取得(要介護認定)、保険給付と自己負担(1割)でのサービス利用といった流れを確立することにより、誤った風潮を是正し、介護サービスの利用をためらい、また、希望してもなか受けられなかった状況を一変させ、介護者の負担軽減に大きく寄与したのは確かです。

それとは対照的に、かつては、福祉の仕事と言えば、半公務員的な給与体系ではあるものの、福祉の精神とやりがいと情熱を持って取り組んでいたのに、それが介護保険制度導入により、「ビジネス」の要素が濃くなってしまい、いわゆる儲け主義に固執したサービス提供者も多く出現することにより、全体的な、サービスの質の低下や、福祉の精神が希薄なサービス提供に変化することを危惧する意見もあり、「これは福祉ではない」と言うのも一理あると考えられます。

しかし、たとえ介護がビジネスとなっても、「福祉」の精神を大切にし、真剣に取り組んでおられる方も、行政、民間問わず多くおられますし、仕事にやりがいを求める気質は多くの日本人が持つものでもあり、ことさら、福祉とビジネスを結びつけることに対して危惧することはないと思いますが、ますます増加する要介護高齢者を背景に、この市場に目をつけ、次々と参入して来る志薄いサービス提供事業者が淘汰され、福祉の志を持って真剣に取り組む方々こそが利益を得られる制度でなければ、利用者も安心してサービスを利用出来なくなってしまうということです。



【介護保険施行準備 〜 市区町村の苦悩 】

制度の施行準備には、国(厚生労働省)、都道府県、市区町村 それぞれの立場で大変な苦労があったであろうと思われますが、ここでは、「保険者」という役割を担っている「市区町村」を主人公として説明させて頂きます。

平成11年、まさに制度開始も残すところ1年となり、慌しくなっていました。

「この業界、変わる・・・何もかもが・・・。」

社会福祉法人等、この業界でで働く人々は、平成12年度を、「福祉界のビッグバン!」などと言って、恐れていました。
「つい去年まで、福祉の(ふ)の字も知らなかったようなやつがさぁ、「介護保険事業計画」なーんてモノをやっているんだってよ」

「ふーん、で、その・・・なんとか計画ってのは、何なのさ?」

「なんでも、それで、「介護保険料」とかが決まっちゃうんだってさ」

都道府県は、事業者の指定や市区町村に対する指示、指導等、市区町村は事業計画の策定及び保険料の算定、介護認定審査会の設置、制度運営の準備等に追われ、福祉業界の専門家達に、上記のように揶揄されながらも、一生懸命頑張っておりました。

揶揄とは言い方が悪いですが、私たちはいったいどうすればいいのか?今までどおり、やりがいを持って仕事が出来るのだろうか、今私たちを頼りにしてくれている方々に、今までどおり、いや、今まで以上のことが出来るのだろうか・・・? と言った不安や苛立ちに他なりません。

実際に、サービス提供者側も、制度開始に向け、どうなるか分からない不安を抱えながら、着々と準備を進めていたのです。

厚労省から、都道府県を通して、「至急、各市町村へ送信願います」などと記述されたファックス送信状が、毎日止めどなく送られてくる。「介護保険最新情報」と題して。

朝、出勤したら、ファックス用紙が溢れている。その、「最新情報」とか、事業計画の数値を報告しろとか、その他色々、殆どが介護保険関係のもの。 「いやー、こんな時間に送って来てるよ・・・県庁の人も大変だなぁ」などとその介護保険担当市職員は言っていましたが、「あなたも似たようなもんじゃないか」とつっこまれていました。

「介護保険最新情報」は、頻繁に送信されるが、時には、「以前お伝えしたことは反故にして頂き・・・」などということもあったようです。市区町村は、随分振り回されたようですが、制度を決める方も、それを運営する方も新しいことを始めるというのは大変なことであります。




【介護保険迷走?〜市区町村の苦悩2】

介護保険料という、住民にとっての新たな負担に対して、市区町村は説明を迫られます。多くの市区町村の担当者課では、住民説明会のための資料を作成し、介護保険制度の概要や必要性、要介護認定のこと、そして、介護という問題に現実には直面していない多くの方が懸念している「介護保険料」について理解を得るため、各地区を巡回し、説明に回っていたと思います。私も、とある町の説明会に参加しました。

説明会に来られる方は、1号被保険者となる高齢者ばかりではありません。2号被保険料については分けて説明しないといけないのですが、そうではなく、高齢者の子や孫も参加して、また、制度そのものに興味を持つ「私はこれに該当」方々で、参加者の年齢層にはかなりの幅があったと記憶しています。

時間帯は夜の8時とかですので、役場の人は時間外の手当とか貰うんだろうか・・・なんてことを少し気にしたりしていました。

説明の内容は、町の担当者も相当に勉強と準備をしていたらしく、かなり分かりやすく、後の「質疑応答」の時の、ややキツめの住民の疑問に対しても。「国が決めちゃったんだから仕方ないでしょ!」などとは言わず(そういう気概は見え隠れするのだけど、口に出しちゃ逆効果ってことを知っておられる)、いかにこの制度が必要か、将来の高齢化の推計「恐らく事業計画に使う数値と思われる」の資料をもとに、淡々と説明されていたと思います。


この時期、事業計画のワークシートも完成に近い時期だったのか、当然、質問されると予想して、「まだ決定ではありませんが」と前置きして、大まかな金額を説明しておられました。基準額「第3段階の方で大体」・・・と。


「まぁ、これだけ年寄りが増えるんだから、仕方ないねぇ」と口にする参加者。その説明会は、何事もありませんでしたが、他市町村では、揉めたケースもあるのかもしれません。

それから間もなく、新聞にこのような記事が掲載されます。


「保険料、徴収先送り」とか、「徴収せず」とか、表現は様々だったと記憶していますが、詳しい内容は、「制度を円滑に導入するため、12年4月から9月までは徴収せず、12年10月から13年9月までは半額、13年10月から本来の保険料を徴収」というものでした。


「はしごを外されたような!」と言う表現が、誰が言ったか覚えていませんが、準備を進めていた方々にとっては何とも理解し難い出来事だったようです。

各市町村は、ワークシートの見直しを余儀なくされ、確か、国会議員の選挙の関係もあり、この決定を、世間はあまり評価していなかったと記憶したいますが、当時の被保険者となる方達は、納めなければいけないと思っていたものが、少しの間納めなくてもいいということになり、素直に喜んでおられたかもしれません。

この軽減部分は、国から「臨時特例交付金」として交付し、これを受けた市区町村は「円滑導入基金」を設置して、12年度と13年度「離島加算分は14年度まで」と、計画的に取り崩し、財源を補填するといった感じのものでした。



【要介護認定始まる】

当時からこの業界に携わっておられた方や、制度開始からサービスを利用されている方々は覚えておいででしょうが、実は、要介護認定は、前倒しで行われていました。介護保険制度が、スムーズにスタート出来るようにと。


現在は、1回の審査会で40〜50件ほど審査するのはザラだそうですが、当時、ある市の担当者から、「11年10月○日の記念すべき第1回の審査会では、たった10件に5時間かかったよ・・・」などと聞いたことがあります。

当時の審査会委員さんも、随分と悩み、黙り込んだり、議論も同道巡りになったりしたのだろうと想像します。

前例の無いこと、そして、その審査の重要性、認定審査会の責任の重大さを十分に理解されているからこそと考えさせられるエピソードです。コンピューター「1次判定」が信用出来ない・・・その時の状況が目に浮かぶようです。

また、再調査を何度も出されて「ちゃんと調査して、特記事項欄もこんなに書いているのになんでだよ〜」と愚痴る認定調査員もよく見かけました。今でも、特記事項の記載が少なく、主治医意見書との差が大きい場合は再調査となることは珍しいことではありませんが、当時は、審査会委員も調査員も慣れない作業に苦労していたようです。



【制度スタート 〜 ケアマネジャーの苦悩】

介護保険制度の ”軸”とも言える資格、介護支援専門員(ケアマネジャー)。介護保険制度においては、この業界の主役中の主役と言っても過言ではありません(以下、ケアマネ)。


ケアマネになるには実務経験を要するため、必ず、何らかのバックボーンを持っていますが、それは様々です。介護福祉士、ヘルパー、保健師、看護師、社協や介護施設等の相談員等。また、医師が、後々の事業展開を考えて取得するケース、居宅介護支援事業所が不足する地域では、在宅介護支援センターや、福祉担当の市町村職員が取得して、制度が軌道に乗って事業所が参入するまでの間、ケアマネジメントを行うと言うケースも見られました。


利用者は、現在より少なかったのですが、何しろ今ほどのノウハウが無く、試行錯誤で大変苦労されていたようです。

と言いますが、ケアマネの苦悩は、これから先も、ずーっと続くこととなるのです。また、そういうポジションであります。
市区町村の苦悩は、暫く落ち着いていたのですが、また、18年度の制度の改正で再び・・・となるのですが、これは福祉の業界で働く人々の殆どが苦悩することになりました。17年10月の、介護施設経営者の苦悩、18年4月〜10月の福祉用具貸与事業者の苦悩(ケアマネも)・・・制度改正に迅速に対応出来なければ、この業界で仕事をしていくことは不可能であります。

こうして、現在に至りますが、様々な問題を通して、超高齢社会への準備を進めていかなければならないと考えます。


【超高齢社会への準備 〜 まとめ】

高齢社会の原因として、「少子化」も原因の一つであります。少子化を論ずると、よく「女性が子供を産まなくなった」とか、「男性がだらしがないからだ」などという論争に発展する場合がありますが、非常に小さい視野での論争であり、無駄な議論であるような気がします。問題は、そんなことでないと思います。


社会保障等の議論で、高齢者へお金を使い過ぎだから、それを若者のため、少子化対策に回したらどうなのか・・・これも、ちょっと賛成しかねます。

弱者切捨ての世の中で、どうして安心して子供を生み育てることなど出来ましょうか!

この国のために尽くした大先輩方を、どうしてないがしろに出来ましょうか!

学校のいじめ問題・・・今の世の中の潜在的な不安を感じさせます。

高齢者に優しくない世の中は、子供にとっても優しくないのです。

高齢者が安心して暮らし、安らかな最期を迎えられる世の中でなければ、少子化の解決もまた、ありえないと考えます。

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